真面目な話を書きます。1日遅れのバースデSSです。雑談でゴツイは言い過ぎた…。細いじゃん!
『赤い月光』
統制機構つぶしにより、やたら追われるようになって久しい今日この頃。ラグナは鬱陶しいと思いながらも、適当にトンズラしてきた。今は人気の無い廃墟で昼寝をしていた。
「あ~、俺…誕生日だったな…そろそろ」
統制機構の独裁統治とは無縁の暖かく、穏やかな空間に誘われた気持ちだった。追われちゃ、誰も祝う訳無いか…ラグナはぼーっと、そんな事を考えていた。
変わってジン。珍しく休暇を申請して、街の中を歩いていた。行方の知れない兄に…形だけでも、とプレゼントを用意しようと考えていたのである。しかし…、
(僕みたいに仕事ある訳でもないから、軽くて身につけても大丈夫な物が良いよね)
と、内心で呟いた先に、シンプルなシルバーアクセサリーの店を見つけた。雰囲気は古風であるも、上品で嫌味にならないような装飾が、扱っている品々と相性が良い。ここで買い物をする事にした。
自分が店に入った途端、何か視線を感じるが(イカルガの英雄がいるなどと囁かれている)、そんな事にも気にせず、
「あら、お兄さん。どうしましたか?」
「え…あ、あぁ。このタグを買いたいと思っている。後、贈り物なので包装もお願いしたいのだが…」
「分かりました。では、書きたい言葉や文章があるなら、こちらにお書きください」
それは赤い石が紐に通され、プレートには言葉が刻める様になっているプレートであった。店員に彫って欲しい言葉を紙に書いて渡し、用が済めば店を出て行った。包みも、どことなく気品を感じた。
「さて、どうしたものか…」
メッセージカードを添え、準備は終えたが後は渡す方法である。行方が知れない相手である。簡単に手渡し出来る訳でもない。だが、ジンは噂で「預かり所」なる得体の知れない商売をしている存在を思い出した。そこは犯罪者もしばし利用していると言う場所(殆んどは手紙とかアクセサリーなど、犯罪履歴とはかけ離れた品物が多い)。そこへ行く事にした。聞く所によれば、預かると言っても、麻薬とか物騒な品物は一切断っているらしく、故郷の家族や内戦ではぐれた親族などに宛てる品物を預かっている事が多いらしい。兄は現在、賞金首であるし、自分は師団長。これはもってこいだと思った。
店に着けば、もくもくと手続きを始め、店員に細かな事を告げていった。
「…え~と、預かる品物は、この小箱で宜しいですね」
「あぁ。銀髪で僕より少し背が高い細身の成人男性に頼む。恐らく赤い上着を着ていると思う」
期間はいつまでも…。ジンはやる事を終え、帰宅する事にした。
その頃、ラグナは人知れず(特にジン)、その様子を見ていた。以前、渡した万年筆の事だろう。社交辞令なのか真心なのか、分からないが、受け取りに行こうと思った。
「ウサギ、わりぃな。じゃあ行くわ」
「私は暇つぶしできたから、その例よ。さっさと行きなさい」
レイチェルの力により、その店へ着いたラグナ。そして、先ほどジンの預かり品を担当していた店員がラグナに気づいた。
「あ、ひょっとして…お客様が」
「ん…俺?何かあるのか?」
「えぇ…貴方と同じく緑眼の方が、これを…って」
それは先ほど見た小箱。しっかり、受け取った。
「(ジンの筆跡だ…)俺みたいだな。すまねぇな、じゃ」
箱を開ければ、赤い石が通されたシルバープレートが入っていた。プレートのメッセージは、こうである。
~導きを… R.T.B.~
カードには、「いずれ会う日が来る事を願う。 from Jin K.」と非常にシンプルであった。そうである。ラグナは聞きたいこと、用事、様々な事がある。それまで死なずにいたい。否、生き続ける。でなければ、意味が無いのだから。しかし、
「今日は今日で、ゆっくりするか…ジン。今日は感謝しとく」
同じ場所で寝転がり、ラグナはプレートを月光に当てた。付いている赤い石が自分の目の色や服に似ている色。そう感じたが、それよりも、この贈り物の重さが大切であった。
『後書き』
R.T.B.=Ragna The Bloodedge です。
私の書くラグナはギャグばっかりですが、史上初の真面目ラグナです。雑談のイメージが強い方がいると思いますが、これはこれでよろしくです。
1日遅れましたが、書きました。ち…ちかれた…。
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