ツイッタでやらかした子供化ネタ。全員生存のifとか無理ある設定です。ご了承ください…では。
◇第3章「終点」 第1部
―第126日目
この日はラチェットも外せない任務があるということで治療室にはいなかった。いわゆる留守番。スタースクリームもその日はジェットファイヤー達の手伝いに駆り出されてしまい、コンボイは自分の部屋でプライムと一緒に過ごしていた。
「大丈夫だよ。確かに寂しいけどずっといない訳じゃないから…」
不安そうに見ているプライムを自分の膝上に乗せて頭をやさしくなでた。プライムはこの優しいパートナーが好きだ。死んでしまった時は本当に悲しかったけど、生き返ったときは本当にうれしかった。グランドキャニオンで自分を盾にしてまで守ってくれた彼だからこそ、一緒に戦おうと決心した。でもコンボイは闘いを嫌う自分たちの意思を尊重してくれた。対等に接してくれた。ウィリーたちの懐き方を見れば、それは一目瞭然だった。ユニクロン内部で何があったのかは知らないけど、自分はコンボイを信じている。それで十分だ。今は幼いけどプライムからしてみれば、それは関係なかった。
「じゃあ物語読もうか?ちょっと取りに行くから待ってね」
アレクサからもらった物語のデータを棚から出して、プライムに読み聞かせるためにゆっくり読み始めた。
「コンボイ、ちゃんと大人しくしていた…」
「司令官、すみません。一人にさせてしま…」
スタースクリームは口に人差し指を当てて静かにするようラチェットに伝えた。その視線の先には穏やかに寝ているコンボイとプライムの姿があった。また物語を読んでいる最中に寝てしまったのだろう。
「本当に寝顔は可愛いものだな」
「ゆっくり休んでください、司令官」
スタースクリームに抱っこされている姿をみて、子守兄さんだと思ったのは内緒である。
―第138日目
「シルバーボルト凄い」
「司令官って確か時々、あいつの訓練場に来ていますよね」
ホットロッドがそう尋ねれば、コンボイはしっかり頷く。司令官がいるということ少し気を引き締めようとの事だった。そんな彼の訓練をホットロッドと隣で見ていた。余談だが訓練場へ向かう途中で周りにはプライムの兄貴と茶化されてしまった。
「ホットロッド、お前も付き合え」
「分かった。じゃあ司令官、行ってきます」
「無理しないでね」
皆がこうして活気にあふれる姿を見て、コンボイは嬉しくなった。小さくなってしまったことを部下に打ち明け、負い目に感じていたことを伝えたら皆が協力してくれた。最後のユニクロンとの戦いで自分の本質を聞いていたのは子供たちとメガトロンだけだったけど、それでも自分を信じてくれた。精神的にボロボロだったけど、ジェットファイヤーを始め、皆何も疑いもなく自分を信じてくれた仲間のためにも頑張ろう、そう思えるようになった。
「俺の勝ちだ」
「ったく、お前って本当に技巧派だよなー。あのスピードで凄いって」
「…司令官、どうしたんですか?」
シルバーボルトが尋ねれば、コンボイ。
「元気があって嬉しいって思ったの」
「俺達はいつだって元気です。司令官が元気じゃないと俺達だって心配ですからね。それだけは忘れないでください」
と言えば、シルバーボルトはコンボイを抱き上げた。なんだか、くすぐったい気持ちになり、腕の中にいたプライムも一緒に笑顔を浮かべた。
―第142日目
サイバトロン基地の中庭。ここは皆にとっての憩いの場として定着していた。その中庭での出来事…。
「な、治りそうなのか?」
「この位の損傷は大丈夫だ。見ていなさい」
休憩中、グラップが意気込んだときに壊れてしまった植物たち。幸い、大木が倒れるような事態ではなかったが、それなりのへこみがあった。ホットロッドとスタースクリームは止めようとしたが遅かった。ホットロッドはすぐラチェットに知らせて、今に至る。因みにコンボイはプライムと一緒に昼寝中で念のためデバスターが見ている。
「すまねぇ…俺っちの所為で…」
「止めるのが遅かった私たちも同罪だ。ラチェット、すまない」
「今後気を付ける事だ。司令官が泣いても知らないぞ、グラップ」
それを言われてグラップは今後庭でガッツポーズをとらないようにしたのは、言うまでもない。尤もホットロッドもスタースクリームも即座に中庭で暴れるな、と散々突っ込まれたが。
―第145日目
「ジェットファイヤー、おかえりなさい」
「司令官。ただいま帰りましたー」
ジェットファイヤーが帰ってくると分かると必ず自分から迎えるために走って、飛びつくことが多くなった。ジェットファイヤーもそんなコンボイを抱き上げている。
「会議は大変だけど、ちゃんと休憩してね」
「とっていますよ、それに司令官が出迎えてくれるだけで元気でますから」
不安そうな表情を浮かべるコンボイに対してジェットファイヤーは明るく答えながら、コンボイの頭を撫でた。しかしスタースクリームは真面目でおおらかなコンボイとノリが軽くて陽気すぎるジェットファイヤーがこうも信頼し合っているのが不思議でならなかった。
「司令官は何故副司令を選んだのか?」
「あんなに陽気だから不思議に思ってだな…知っている範囲で構わない」
ラチェットなら知っているかと思い、そう尋ねるスタースクリーム。
「司令官が言うには自分にないものを持っているからだそうだ」
「そうか…礼を言う。あ、これじゃないのか?必要なツールは」
「あぁ、すまないな」
何だかんだでサイバトロン色に染まるのは悪くないと思い、スタースクリームもコンボイのようにラチェットの手伝いをしていた。
その頃のコンボイとジェットファイヤーは屋上で思い出話をしていた。
「実はね、副司令を誰にするか考えていた時、全員と話したけどすぐ君だって決めちゃったの…」
「へ?」
「それだけ印象深かったのかな…」
照れくさそうにコンボイにジェットファイヤーは笑いながら、それはそれでいいと思う、と答えた。
「確かに驚きましたが俺はこの職務と貴方を誇りに思っていますよ」
「ありがとう…あ、そろそろ休憩時間終わりじゃないかな?」
「え…あ!!」
うっかり者な一面もあるが、それもまた愛嬌。そんな穏やかなひと時。
☆後がきの跡
あと3回で終わります。ここにきてグラップとシルボルかー、とか思いながら書きました。
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