閃の軌跡SS→喫茶店でのなんて事のない一日2

軌跡シリーズ

 診断結果「あなたは5時間以内に3RTされたら、パティシエと喫茶店スタッフの設定で両片想いから告白するヒカミ版クロリンの、漫画または小説を書きます」をもとに書きました。女性向けだと思うので閲覧注意。以前書いた喫茶店ネタと同一です。



 「リィンは内向的な所があるのは知っているが…」
 「クロウもクロウでヘタレなんだよねー。マキアス、シフォンケーキセットおまたせ」
 「ありがとう」
 この喫茶店『ロッソ』の常連客であるマキアスはエリオットと同じ帝都出身でよくここで本を読んで勉強をしている傍ら、大のコーヒー党であり、この店におけるコーヒー関係のメニューは彼のおかげで好評でもあった。
 「やあ、マキアス君。君の珈琲の知識は助かるよ。おかげでアフォガードは目玉メニューとして成功した」
 「アンゼリカさん、こんにちは。ところでリィンとクロウさんは?」
 「ああ、あの2人なら買い物さ。クロウのやつ、リィン君と出会って今年で10年目だって事でのんびりさせる事にしたのさ」
 「今日は定休日だし、こうしてマキアスにお礼もできるからね」
 嬉しそうにエリオットが言えば、マキアスは照れくさそうに有難うと答えた。
 「いやー、たまにはのんびり過ごすのもいいなー」
 「ああ。この店の紅茶とケーキも美味しい」
 アンゼリカの言うとおり、リィンとクロウはのんびり帝都を回っていた。…と言いたいが女性の視線が凄いのに二人は気にしていない。リィンからすればクロウは兄貴分だし、何よりも甘えてもいいと言ってくれたこともあってか、存在が大きくなってしまった。クロウはほっとけない性分が発揮してしまい、シュバルツァー兄妹の事が気になって仕方なくなったのが大きい。甘えてくるのは満更でもないし、調子のいいこと言って文句言うものの自分を慕ってくれるから結局、料理を作ってくれるのは自分だけの特権だと思っている。
 「こうしてクロウと出会って10年目になるんだな」
 「そうだな。お前とエリゼに危害加えそうなのを見て、なんか体が勝手に動いたんだよ」
 たまたま祖父とユミル旅行をすることになったが、着いた時に足湯広場で兄妹に突っかかるごろつき(クロウからすれば、そんな風に見えた。実際は貴族の子息)を問答無用で蹴飛ばして、追い払ったのが二人の出会いだった。
 「男爵には説明延々と求められるわ、爺さんの説教を喰らうわ…いろいろありすぎたぜ」
 「けど、俺はね…あの時、弱気になっても良いって言ってくれたクロウの言葉が凄く嬉しかったんだ」
 「そうか…なんだか照れ臭いけど、あの頃を思えばお前は頼って甘えるようになったと思うぜ。エリゼもそれを望んでいるはずだ。けどな…」
 だが恥ずかしい事を臆面なく言ってくるリィンに喋ってほしくないため、思いっきり髪の毛をかき乱した。
 「やめろって!クロウ…髪が乱れるだろ」
 「うっせぇ!こっちだってなぁ、懐いてくれたのは嬉しかったんだよ!言ったぞ、この野郎!!」
 やり取りがバカップルに近いため、誰も突っ込もうとせず食事をするか、読書をするか、と必死だった。
 変わって、『ロッソ』の居住スペース。
 「クロウ君って照れ屋さんだよね」
 「呆れるほど…ですよね」
 トワもアリサもクロウがリィンの事を大事に思っているのは既に分かっているが、必死で言おうとしないヘタレぶりにただあきれるしかなかったとか何とか。エリオットもアンゼリカも苦笑いしながら、リィンお手製クッキーを頬張りながらブレードを始めたのだった。
 おまけ
 クロウ「あのー、リィンだっけ?泣きついて寝たんですけど…」
 テオ「珍しいな、滅多に甘えない子なのに」
 ルシア「クロウ君、すみませんがもう少しだけリィンの事をお願いできますか?」
 市長「それは良いですな。クロウ、しっかりとその子の面倒を見なさい。さっきも言ったがいきなり喧嘩は感心せぬけどな」
 エリゼ「あーずるいです!私も兄様と一緒が良いです!!」
 クロウ「ああもうわかった!嬢ちゃんも俺と一緒にいろよ!おめーの兄ちゃんは俺が責任もって面倒を見てやるっての!」
 エリゼ「だめですー!私も一緒に兄様を助けるんです!」
 クロウ「そう来たか!」
 ルシア「うふふ、楽しそうで何よりですね」
 クロウ「は、はぁ…」
 市長「安心している寝顔ですな。なのに周囲は不当に罵るとは…」
 エリゼ「兄様をいじめる人は貴族であろうが何だろうが許しません!」
 テオ「リィンは自分を引き取ったせいで私たちが悪く言われていることを気にしているのは分かっています」
 ルシア「頭では皆、受け入れていることは分かってるはずですけど、心がそう思えないんでしょうね」
 クロウ「そうっすか…、じゃあユミルにいる間、俺が連れまわして遊び倒して甘やかしてやります!できる範囲で」
 市長「流石わが孫。思い切りの良さは満点だ」
 クロウ「爺さん」
 リィン「うーん・・・あれ?」
 クロウ「よ!」
 リィン「あの…有難うございます」
 クロウ「あー、そういうのなし。もうクロウって呼んでいいから」
 リィン「え!でも…」
 クロウ「良いじゃねーかよ、かたい事言うのは無し。ほら、一緒に遊ぶぞ」
 リィン「え、ちょっと…わあああああ」
 エリゼ「あ、行っちゃいました」
 ルシア「あらら、元気な子ですねぇ」

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