閃の軌跡SS→墓参り

軌跡シリーズ

 ワードパレット11「空」「花嫁」「傷跡」から。閃2本編終了後の物語です。



 士官学院最後の自由行動日から3か月。クロスベルでの要請を終え、リィンはオルキスタワーの屋上で空を眺めていた。今までよりも危険な場面に遭遇することもあったが、何とか仕事をこなした。支援課関係の要請になると手強い。
 「そんなにひどい顔をしているのかな、俺…」
 確かにクロウの死を目の当たりにしてショックは大きかったし、何よりも父親が鉄血宰相だと知ったときも大きな衝撃を受けたが今はどうしても実感がわかない。けど、後押ししてくれる仲間がいる。それでもクロウを失ったことは今でも大きい。あの時の内戦で負った傷跡は簡単に癒えないままだった。進もうとしているが、どうしても目をそむけてしまうことも多い。因みに傷に関しては周囲に医務室へ行くように言われたが何故かそんな気分になれなかったし、早くトリスタへ戻りたい。その思いが強くなっていった。
 ―2日後・トリスタ
 要請を終えてリィンはトリスタへ戻った。
 「リィン兄ちゃん、おかえりなさい!」
 駅にはカイとルーディとロジーヌがいた。リィンを迎えたいという事で待っていたらしい。情報はトマス経由とのこと。
 「おかえりなさい、リィンさん」
 「ロジーヌ、わざわざ有難う」
 黒の史書絡みでトマスとロジーヌの素性を知ってからというものの、彼女はともかくトマス相手になるとどうしても身構えてしまう。もっとも、学院で下手なことはしないのは分かるのだが。
 「あれ?教会は賑やかなんだな」
 「はい、結婚式の最中です」
 丁度、花嫁がブーケトスをしていた。とてもきれいな人だったし、花婿も長身で優しそうな人だった。リィンはエリゼもあんな風に誰かと結婚する日が来るのだろうと思うと嬉しさと寂しさがよぎるが、そこはシスコン。
 (やっぱり、生半可な奴にはエリゼはやれないな)
 そこは決して譲れないリィンであった。VII組がいたらシスコン極まれり、と突っ込んだだろうが、そんなツッコミをする者はだれ一人いなかった。
 リィンはヴァリマールのいる格納庫で彼と簡単な会話を交わした後、少し離れた場所にある墓へ向かった。そこには亡き悪友の名前が刻まれた質素な墓だった。墓石の掃除と献花は彼の日課だった。まだVII組の皆やトワ達がいた頃は一緒に墓参りをしたが今は主にリィン1人だが偶にエリオットたちも一緒に墓参りにやってくる。今日は月命日ということもあり、ゆっくりしようと思った。
 「クロウ、ただいま。もう半年たったのが嘘みたいだと思っているよ。学生会館前の手品は今でも覚えているし、そのあと返そうとして10ミラしか入っていなかった時は間抜けすぎると思うけど…俺には大切な思い出だから」
 思い出話と一緒に近況を語るのも、いつの間にか習慣になっていた。特に支援課の事を話すようになったかな、と思う。
 「支援課のロイド・バニングスっていう捜査官に言われたけど、俺って辛そうに見えるのかな…」
 何度か戦っているものの、あの諦めない闘志は羨ましいと思うし、今の自分には眩しすぎる。それほど真っ直ぐで強いと感じていた。
 「セリーヌには乗りこなせるようになったと言われたけど、鬼の力も含めて力とどう向き合うか…まだまだ迷いそうだけど見守って欲しい。いつか堂々と自分の道だと言い張れる人間になりたい」
 多くの事をしゃべっていたためか既に日は暮れていた。リィンはすっと立ち上がり、学生寮へと戻った。
 ―変わって旧校舎
 「本当に恥ずかしい事を臆面もなく言うやつだな…。ま、見守るとしますか。リィン、お前の道…どんなものになるか楽しみにしているぜ」
 クロウは心配な気持ちはぬぐえないものの、嬉しそうにつぶやいた。
 おまけ
 ロイド「ティオ、なにか情報つかめたか?」
 ティオ「臨時武官なのは間違いないですけど本来は帝国にあるトールズ士官学院の学生ですね」
 エリィ「ミシェルさん経由で帝国時報読んだけど帝国内戦終結の立役者になった子よ」
 ランディ「そうなのか?ちょっと前に戦ったけど覇気なかったぞ、あいつ」
 ロイド「何か影を抱えている感じはしたな。あ、なんとなくだけど」
 キーア「ロイドってそういう所鋭いから信じる」
 エリィ「そうね」
 ティオ「でも、いつかリィンさんを口説きそうですね」
 ロイド「なんでそうなるんだ!?」
 ランディ「諦めろ、人タラシ」

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