『陰る空、渦巻く感情』
「終わら…ん…ね…」
スパイダスの言葉が、あれ以来、頭から離れずにいた…。カギキラの一件から、毎度あの戦いの夢を見る。戦いは終わらない、人が不完全である限り、レプリロイドも然り…。だが俺は人を信じる。
「あれ、エックスさん?」
「ホーネックじゃないか、大変そうだね」
「全くですよ…隊長が…ってすみません。エックスさんが1番辛いと言う状況下で…」
エックスはゼロを止めようとしたが、引き金を引かなかった…否、引ける訳が無かった。だがゼロは斬ったのだ。当然、イレギュラー認定をされ、今でも指名手配中である。それでもエックスはゼロを信じている。だが彼自身自覚のないまま、何か―何かが崩れていきつつあったのだった。
「ううん、ホーネック…有難う。俺は大丈夫だから。気遣い有難う」
「だと良いのですが…って、あぁ!すみません。これから会議に出るので失礼しますね!」
副隊長である身、隊長代理として多忙となる(そうでなくとも日ごろ、慢性的な人材不足とハンターの激減で疲弊している)。軽くお辞儀をして彼は去った。
「ゼロ…何処に居るんだよ…?いつも俺に心配かけさせやがって、と言っていた君が俺に心配させて…」
「エックス、そこにおったか?」
「博士…何か?」
「唐突じゃが、ここへ行って欲しい」
ケインからディスクを渡され、見てみれば使われなくなったバイオラボラトリーの異変を知らせる内容であった。裏が在る可能性が高い。彼は即座に思った。
「分かりました。すぐに行ってきます」
「任せたぞい」
エックスはケインに礼を言って、アディオン収納庫へ急いだ。
誰も居なくなった休憩室。ケインはため息をついた。
「ゼロの奴め…はよぉ戻ってこんかい。エックスの怯えと苦しみの狭間におる。それを何とかできるのは、お前だけなのにのぉ…」
岩本版X4第5話突入前です。踏んだり蹴ったりなエックスの話…。あれは、酷かったなぁ…。
とまぁ、それはさておき、世にも珍しいエックスとホーネックの会話です。皆から心配されています。そりゃあ…あんな出来事で心配しない奴は居ないと思います。例の「ズバっと斬られた事件」です。
2008年6月5日のコレを参照にして下さい。
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