掃除ネタです。豊臣軍多めで色男決定戦がある時間軸と思っていただければ(ネタは触れていませんが)。
「正則―――!真面目に掃除しなさい!」
「すみませーん」
おねね様の怒号が響く中、豊臣家は大掃除の真っただ中だった。
「定期的に掃除しないと、まずいよな」
「…雑巾がすぐ真っ黒になった」
三成も清正も問答無用で駆り出された。蔵の掃除を頼まれ、清正は蔵にある道具の取捨選択、三成は(ぼやきながらも)地道に水拭きをこなしていた。
「だが幸村は文句言わずに真面目に手伝っているのを見ると、悪い気がするのも事実だ」
「そりゃそうだけど…お前、どこまで幸村大好きなんだよ」
「うるさい!」
雑巾を思いっきり清正にぶつけて喧嘩が始まり、それを見つけたおねね様がまた二人を叱り飛ばしたのは言うまでもない。
「喧嘩ばっかりする子は罰として庭掃除追加だよ!」
幸村は真面目に掃除の手伝いしているのに…、とぼやけば何も言い返せなくなったのだが清正は幸村に妬いていたので三成に小突かれた。
一方その幸村は書斎にて棚や備品の拭き掃除を終え、書物の分類を官兵衛と共にしていた。
「官兵衛殿、こちらの書物はどこに置けばよろしいですか?」
「それは、あの棚にまとめてもらおうか。後の整理は私がやっておく」
「分かりました。分類を終えた書物は私が棚まで運びますね」
「そうしてもらえると助かる。それと、今度はこの書物だが…」
三馬鹿とは違って順調だった。官兵衛は幸村の真面目な点は認めているが妙に危なっかしいので警戒している。だが今それを追及する気はないし、掃除の手伝いはありがたいと思っている。
「幸村がいると楽が出来ていいねー」
「働け」
官兵衛は掃除をさぼっている半兵衛を容赦なく殴った。はたきの柄で。
「官兵衛殿酷いー、殴ったー」
「問答無用だ」
幸村はどうして良いものかと戸惑っていたが半兵衛の声を聞いて駆け付けた左近と吉継がやってきて、吉継は気にしなくてもいいと言って幸村を退室させた。
「吉継さんは幸村を頼みましたよ。後は俺の方でやっておきますから」
「分かった」
同じころ、幸村の兄・信之と妻・稲姫も大掃除をしており、少し休憩している頃だった。
「信之様、これで屋敷全体の半分は掃除を終えましたね」
「そうだな」
「…幸村の事、考えていませんか?私もですが…」
「変な影響を受けていないか心配だ」
何かあったら容赦しないと言わんばかりに拳を作っていた。それは稲姫も同じであり、彼女はお盆をかち割る勢いで握りしめていた。そんな2人を忍びは家具運びをしているときに見かけるも、いつもの事なので無視を決め込んでいた。
(顔だけ男と一緒なのは何だか物言いたげみたいだけど、そっとしておこう)
なお、このブラコンが酷くて父・昌幸の頭痛の種でもあるのはここだけの話。
―豊臣家の屋敷の一室。大掃除はほぼ終えたので、幸村は皆と一緒に茶菓子をつまんでいた。
「皆様、お疲れ様です…あ、あの…」
「気にするな、幸村」
「そうだぞ。俺達、ヘマをして痣ができた」
三成と清正はおねね様のお仕置きと説教の強烈コンボでボロボロになっていたが、そんな事言えないので適当にごまかした。正則も庭で転んだとごまかしていた。左近と吉継にそんな嘘は通用しないのは分かっているが、幸村がいると見栄を張ってばかりのどうしようもない3人であった。
「そう言うことにしておこう」
「災難でしたねぇ、お三方」
まだ心配そうな顔をしている幸村だが3人が平気だという以上、あまり追及するのも良くないと思い、出された茶菓子をつまみつつ、三成達と談笑した。
おまけ
信之「幸村がいないと寂しい」
くの「また始まった…」
稲姫「手作りのお守りをあんなに握っているのは良いけど…心配ね」
くの「稲ちん、棚上げになるって」
甲斐姫「幸村様いないとあの人、本当にぬけているよね」
早川殿「仕方ないわ。それだけ大切な家族だもの」
直虎「そうですけど…ちょっと怖いときありますよ」
稲姫「文のやり取りは定期的になっているけど、それでも実際会って話す方が良いわよ」
甲斐姫「分かるけど…今のあの人、痛すぎるから」
幸村「雪、降ってきましたね」
吉継「ああ。それはそうと最近、娘と仲が良いな」
幸村「はい、細かいところに気づいてくれますし、良い方です」
三成(い、いつの間に…)
清正(まー、抜けている所あるから細かい女がいると丁度いいかもな)
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