ロックマンX:SS第3弾 ※初期設定、こんな感じでした


 『鋼の絆,託された信念』
 「これほどの実力とは…」 
 さきのエックスの一撃で決定打となったアルマージ。彼は伺っていたのだ。自分が無防備になる瞬間を。そして、それを逃さなかったのだ。そして見事、自分を破ったのだ。
 「アルマージ…どうして、シグマに…」
 「上司だからでしょ」
 後ろから、両者にとって聞きなれた女性の声が聞こえた。そう、エックスやゼロと同じくシグマと戦っているトウコ(この時は忍び部隊隊長)であった。
 「そう言って、私の制止を聞かなかった。上官である以上、命令に背けないし、従うのが道理だものね」
 「ふっ…お主も相変わらずだな。頑固な面はお互い様であろう」
 「そうだね。それと、今回の戦いはエックスを試す為…でしょ?」
 どのような戦士であるかを見定めたくなった彼の気持ちを察していた。しかしエックスは、戸惑ってばかりである。彼女はアルマージと親友である事を話していなかったのだから。
 「え…アルマージ…まさか…」
 「そう。命を賭けた戦いだったの…そしてエックス。君はそれに応えた」
 震えながら喋るトウコ。そしてアルマージの側へ歩み寄った。
 「確かにお前とは、袂を分かつ形となったけど、私は決してお前を反逆者と見なかった。友として、ずっと信じていた」
 「それは自分とて同じだ。歩む道は違えど、お主は友だ…っ!トウコ。それは…」
 「あ…涙が…」
 アルマージもエックスも驚きを隠せなかった。なんせ、機械仕掛けの体になってから、涙を流していなかったのである。実際、彼女もよく分からないでいたのだ。自分が機械仕掛けの体で生きていかなければならなくなった日から、人として生きる気力を失い、それを塞ぎこむかのごとく、仕事に明け暮れた。けど今は違う。今は受け入れられる。自分が泣けなかった理由を…。
 「泣けなくなったんじゃない。泣けないと諦めていた心の貧しさが涙を封じてしまったのだ」
 「トウコ…例え人ではなくなった身であっても、誇りを持って生きろ。今なら出来るであろう」
 アルマージの言葉に、一気に涙を拭うトウコ。そして決意に満ちた瞳で本音を告げるのであった。
 「…あぁ。私は生きるさ。じゃなきゃ、私を庇った父さん達や共に歩める仲間に申し訳が無いから。ねぇ、エックス」
 「あ…そうだね」
 「トウコ…お主…が自…分…の友で…あ…る事を…誇…りに思う。エッ…クス…最後…の戦…に…相応し…き敵で…あった…ぞ…」
 満足げな顔をして、闘士は事切れた。今度こそ、トウコの涙は止まることを知らず、雨の様に流れた。ずっと塞ぎ続けた物が急に溢れるかのごとく…。エックスも、自分の為に命を捨てる覚悟でいた戦士に敬意を見せ、同じく泣いたのであった。
 ―帰り道。アルマージの遺骸を抱え、鉱山から少し離れた丘にアルマージの墓を立てた後、2人はハンターベースへ戻る事にした。
 「お互い、泣きまくったわね」
 「あ…そうなるね」
 「エックス…」
 「?」
 「戦い、終わらせようね」
 先ほどまでの弱さは無く、いつも…いや本来以上の強さと決意の固さを秘めた表情でトウコは、エックスに言った。そして、エックスも明るく答えた。愛刀を見つめ直した。これには、相手の技をインプットできる為、アルマージのデータを取り入れたのであった。
 (アルマージ…さよならは言わない。共に居るのだから。この刀に…)


 創作人物は出さない方針で居ますが、どういう位置づけであるかの話は少し書く予定です。出番の匙加減が難しいです…。隊長なので、色々と面識が多いのですが、親しいのはアルマージです。実直さが気に入ったが真相。後は、イーグリード。ゼロ同様、歯に衣着せぬ物言いが出来る。他は挨拶する程度だが父親の実家が仏教である事や事故の経験から、無駄な殺生と犠牲を酷く嫌う性格のため、衝突する事も多少ありましたが、最小限で事を成しているので、余り非難されていません。
 トウコはエックスに甘いです。年の近い弟(故人)が居たせいか、かなり甘くなりがちですが、それでも時には厳しく接しています。ゼロには毎度毎度のごとく、厳しいのですけどね(笑)。
 因みに戦闘の場面ですが、私のイレハン体験記です。ボスはバスターオンリーと言う挑戦で(でもフルアーマー)、どうすれば当てられるかと言うタイミングを測る時の心境です。これは入れたかった。

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