ツイッタでやらかした子供化ネタ。全員生存のifとか無理ある設定です。ご了承ください…では。
◇第1章「距離」 第2部
―第11日目
コンボイはあれから少しずつだが、皆と距離を縮めるようになってきた。スタースクリームにはあの後、茶化したジェットファイヤーを窘めなかったことを謝った(自分の所為で多忙だから、あんまり責めてほしくなったらしい)。いちいち気にしていたらきりはないのだが、こうして正直に謝るあたり、コンボイらしいと思えてきた。
そういえば、3日くらい前からラッドたちが来ていた。カルロス・ジム・ビリーは補習というものがあるらしく来られなかったそうだが、アレクサと彼はコンボイが子供になったことを聞いて心配してくれたとの事。現在、一緒に手掛かりを探すとともに遊んでいる。
「コンボイ、この花はね…」
「地球の植物ってきれいだね」
子供になったとはいえ、やはりトランスフォーマー。人間とマイクロンより大きいのである。コンボイの膝上に乗って一緒に図鑑を読んでいる。スタースクリームも今後の交流を思い、耳を傾けていた。その中でラッドは植物や生き物にサバイバル技術等自然の事、アレクサは歴史や政治といった出来事に強いというのが何となくわかってきた。
「本当に今のコンボイはスタースクリームの膝上が好きなのね」
「うん…凄く落ち着くの」
そう答えるコンボイはどこか悲しそうな表情だった。アレクサはそれがどうも引っかかって仕方がなかった。ラチェットが言うにはこれでも少しは明るくなったと言うのだから、心配になってきた。
「コンボイ、今日は探さないのか?専門書は」
「探すのも大事だけど折角ラッドたち来てくれたし、一緒にいたい」
「そうか。じゃあ基地内に作った庭でも案内するか」
その夜。コンボイはラッドたちが寝たのを確認して、個室から出て行った。行先は昼間、ラッドたちに見せた庭。サイバーホークもここで過ごすことも多い。地球の自然を模してラチェットたちが作ったものだ。植物は定期的なリズムで光っている。この光る様子が優しく、不思議と心が落ち着くのだった。何かする訳ではないが、ここで過ごすのは好きだった。ラッドたちと遊んでいたため、積読していた専門書を読み始めたが、
「夜更かしはダメですよ」
ラチェットに止められたのは言うまでもない。
「しかし、夜中にこうして起きているのは久しぶりじゃないですか?」
「うん…」
「司令官が元気でないと我々も辛いのですよ」
「でも…こんな姿になって皆大変になったから凄く辛い。とくにジェットファイヤーは副司令の仕事だって大変なのに司令官の仕事をやることになって、悪いことしちゃったな、って毎日思っている…」
「司令官、貴方がそこまで遠慮する必要はありませんよ」
「え?」
泣きそうなコンボイを落ち着かせるようにラチェットはコンボイの頭をなでながら優しく言った。
「司令官はみんなを助けたいから一生懸命になるように我々も司令官を助けたいのですよ」
「え?」
「出てきたらどうですか?副司令?それにホットロッド、お前も出てきなさい」
ばれたか…とバツが悪い顔を見せながら出てきたジェットファイヤーとホットロッドにコンボイは驚いてしまった。
「え?」
「司令官、あんまり落ち込んじゃだめですよ。俺はこうして司令官が元気じゃない事の方が辛いんですから」
「ジェットファイヤー…!!」
「俺だって司令官が元気じゃないと辛いですよ」
「ホットロッド…みんな有難う」
いうや否やコンボイはジェットファイヤーに抱き着いて、今までの負い目をすべて打ち明け、今後は素直になるように頑張ると言った後、安心しきったのかすぐに寝てしまい、そんな様子に一同微笑ましいと思いつつ、コンボイを部屋まで送った。
―第14日目
マイクロン伝説を存じている方はこんにちは、初めての方ははじめまして。私はアレクサ。本名はアレクサンドラだけど皆にはアレクサって呼ばれているの。今、小さいころから一緒に遊んでいるラッド(彼も本当はブラッドって言うけど普段はラッドって呼ばれているわ)と一緒にセイバートロン星へ行ったの。コンボイが子供になってびっくりしたけど、こんな一大事放っておけないもの。学校はちょうど休みだから家族にはうまいこと言って、こっちに来たわけ。
ラチェットが言うには、スタースクリームとホットロッドには結構懐いているけど、他のサイバトロン戦士には距離を置いちゃっているって(でもホットロッドもスタースクリームほど懐いている訳じゃなくてサイバトロンの中ではまだ懐いている方だっていうから、そこまでじゃないみたい)。一番置いていたのがジェットファイヤーだって言うから司令官が子供になって事もだけど、こっちもこっちで一大事って思ったわ。この前も悲しそうな表情浮かべていたし、あの後コンボイがラッドと話しているときにこっそりラチェットに聞いてみたの。距離を置きたがるのは自分が小さくなったことでみんなの負担が増えたことに対する負い目だって。もう皆はそれを分かっているけど、コンボイはそんな自分を許せなかったって。小さくなっても司令官としての能力や考え方は変わっていないんだな、って思うけど心配になるわね。でもラチェットに本音を打ち明けていたって事はそれだけ素直に辛いって言えるようになったって事よね?少しでもコンボイが元気になってくれると皆も嬉しそう。やっぱりコンボイは皆の軸ね。本当の気持ちをジェットファイヤーに打ち明けてから、コンボイは辛そうな表情を見せることはだいぶ減って、明るくなったと私も感じたわ。そうしたら、グラップもシルバーボルトもデバスターもステッパーも嬉しそうに駆け寄っていったのだから、本当にコンボイはみんなに信頼されて、愛されている司令官ね。この時は軍総出でパーティしたわね。スタースクリームもコンボイが明るくなって安心したのか、彼も彼でコンボイと一緒にいるのが楽しいみたいだから、こういう所が魅力なのかもね。
「アレクサ、ウィリーたちとかくれんぼしない?」
「今いくわ」
アレクサは日記を纏めてから、ラッドの元へ向かった。
―第18日目。
デストロン基地はというと、特に何か騒ぎがあるわけではない。スタースクリームがコンボイに懐かれたことでサイバトロン基地に行ったこと以外は。むしろ静かである。
「メガトロン様?」
「…コンボイを小さくするべきではなかったわ」
まずい、かなり不機嫌だ。アイアンハイドとランページはそう悟った。ランページ自体はライバル不在で退屈なのかと(コンボイが死んだわけではないが子供では満足に相手にならないだろう)思っていたが、そんなのはメガトロンの言葉でぶっ飛んだ。
「儂の出番が少ないではないか!!!」
「え?」
そっちかよ!これには突っ込まざるを得ないだろうが、後が怖いのでひとまず声には出さなかった。が顔はそうもいかなかった。
「スタースクリームばかり出張っているのだから…儂は…儂は…!!」
コンボイ病が始まったメガトロンに何を言っても無駄。そう悟ったアイアンハイドとランページはこっそり抜け出し、基地の修繕に取り掛かった。そして誰に向けたのか、アイアンハイドは勝手に説明を始めた。
「メガトロン様が矢鱈とコンボイコンボイと気にかけたり、叫んだり、戦いたがっていたり、とにかくコンボイ関係でぐだぐだし始めるのを我々はコンボイ病と呼んでいるのだ」
「まんまだな、それ」
一方スラスト。
「ここの通信機能は良し、と」
そんなメガトロンのボヤキは知らず、今日も今日でオペレーター全般の任務に勤しんでいた。サンドストームのいびきも聞こえず、割と平和な日々。
そして、サイバトロン基地では…、
「司令官。ただいま帰りましたー」
「お帰りなさーい」
仕事を終え、元気よくジェットファイヤーのもとへ走っていくコンボイと、元気になったと安心するスタースクリームとラチェットであった。
「今日も大変そうだったね、会議」
「無理しちゃだめよ、ジェットファイヤー」
「ジェットファイヤー、あの…辛いって思ったら少しでも言えるように頑張るから…その…」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言うコンボイにジェットファイヤーは笑いながら、無理をせず本当に伝えたい時はちゃんと言ってください、と優しく答えた。
☆後がきの跡
子供になっても司令官は司令官です。スタスクは普通に抱っこですけど、ジェットファイヤーは高い高いが多い。嬉しいと司令官のアンテナは動きます。アンテナは犬のしっぽです、はい。
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