吉継と幸村を主軸に書きました。女性向けかもしれないので閲覧注意です。
今日もいつもの如く、三成の部屋にはいつもの面子が集まっていた。今日は幸村が皆のお守りの紐をつけ直すために集まっていた。
「幸村とお前の娘は無事に婚姻を結んだ、と」
「ああ、これで幸村も俺の家族だ」
と、どこか嬉しそうに言う吉継に幸村は笑顔で答えた。信之は最初こそ驚いたのだが(縁談を黙っていたことに腹を立ててひと悶着があった)、事情を話してから二人の縁談を喜び、色々張り切っていた。稲姫も義妹が出来て喜んでいた。
「あの…義父上も真田の家族ですから」
「これからも幸村を頼む、よ…義父上」
「お前たち、別に無理して呼ばなくていいぞ」
まだ義父と呼び慣れていない二人に対して、吉継は似たもの兄弟だとしみじみ思っていた。
「みなさん、紐直せました」
「すまないな。糸のほつれまで…」
「お前は本当に手先が器用だな」
と、兼続は元気に幸村の背中を叩けば、幸村は痛そうな表情を見せつつも彼に礼を言った。因みに清正達の分もしっかり繕っていた。
「所で安岐には何を渡したのだ?」
「水仙です。故郷に咲いている花だから、と」
なお、幸村は女性だと花の形をしたお守りを作っているとの事。現に稲姫と忍びには桜型を作っていた。手元には水仙のお守りがあった。
「紐は黄色なのは花の色だからか?」
「はい。花の色は白い方が可愛らしいと思いまして、白にしました」
全員分の繕いを終え、幸村は秀吉たちにお守りを渡すため部屋を出た。
「しかし清正は痛いな…幸村…少しは断るすべを覚えてくれ」
「それは同感な流れだ」
その日の夜。吉継は床の間にある造花を直している幸村を見かけた。
「義父上」
「驚いた。部屋にある造花はお前と信之たちの合作なのだな」
「はい。昔からこういうモノづくりが好きですが彫刻はさっぱりなんです」
と、幸村は恥ずかしそうに答えた。
「気にするな、お前の手作りという事で信之も稲殿も大喜びだと思う」
「ありがとうございます。義父上、お渡ししたいものがあります」
幸村は袋からお守りを取り出した。それは桜の刺繍に白地で青い紐のお守りだった。
「義姉上が真田家になったときにも、その…家族として迎える意味でこうして桜のお守りを作りました。ですから、義父上と安岐にも…と思い、作ったのです」
「ありがとう、竜胆のお守りとともに大切にする」
「義父上…今後もよろしくお願いします」
「作業はその辺で切り上げて寝る事だ。信之の心配性が発動するぞ」
一言注意して頭を撫でてから吉継は部屋を出た。幸村もまた作業を切り上げ、箱の中に造花や道具を閉まってから部屋へ戻った。なお信之はくのいちとともに天井裏で二人の会話を聞いていた。何をやっているのだ。
(幸村が楽しそうなら私はそれで嬉しいが、なんだか複雑だ)
(信之様、抑えてください。あの顔だけ男は不安ですけど、まだあの人良い方じゃないですか?)
(それはそうなのだが…)
数日後。三成たちは真田家へやってきた。三成はまた強制的に休暇を取ることになった。が、
「吉継…何だ、その桜のお守りは…!?」
「幸村の家族として歓迎されたのでな。中々綺麗だぞ」
竜胆のお守りと一緒に並べれば、三成と信之は悔しそうに同じことを叫んだ。
「「う、羨ましいぞ!は…!!」」
「お二方…ど、どうしたのですか?」
「…すまない。今のは忘れてほしい」
「幸村、私もだ。聞かなかったことにしてほしい」
(わざとですね)
(うーむ、吉継殿は信之殿と三成で遊んだな)
左近と兼続はその様子をただ見ているだけだった。しかし、
「三成殿、あの…桜のお守りありますが…」
「え?」
「兄上も…躑躅のお守りを作りました」
「そうか、桜は既にあるからな…ゆ、幸村あああ!私は猛烈に感動したぞ!」
兼続を蹴飛ばして幸村に抱き着こうとしたが、吉継は得物の采配で容赦なく信之の頭を殴って沈めた。
「吉継さん…あんたねぇ…」
「娘婿を守るのも舅の務めだ」
真田家の明日はどっちだ!?
おまけ
信之「幸村…」
三成「がっつく結果がこれだろうが」
兼続「いたたたた」
左近「あんたも痛そうですね」
吉継「これに懲りたら弟病を改善しろ。後、見境なく幸村に抱き着くな」
幸村「義父上?」
信之「私から幸村を取らないでくれええええ!」
吉継「取り上げるとは言っていない。幸村が絡むと節操なしになる所を辞めろと言っているのだ」
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