ロックマンX:SS第4弾 ※連作に挑戦


 『飲まれた黒,光を失った優しき戦士』
 スペースポートでカーネルを倒したゼロは、一旦ハンターベースに戻った。だが、帰還後に聞いた報せに愕然と成った。
 「何だと、アイリスがいない!?」
 驚きを隠せないゼロ。そしてイーグリード。
 「あぁ、ヘチマールの奴が様子が可笑しい上、その後見かけなくなったって、言っていた。宇宙用の機体が1機無くなっている。間違いない」
 「ゼロさん。そう言えば、デスクにこんな物が…」
 オストリーグから渡されたディスクを早速読み込むゼロ。そこには、彼女のメッセージが在った。
 大事な物を全て奪う…必ず…。宇宙で待っているから。 アイリス
 「おい、これはトウコは知っているのか?」
 「あぁ。そうしたら顔面蒼白だったぜ」
 イーグリードは、大げさに彼女の形相を再現したがゼロはお構いなしだった。
 「…っ!おい、エックスは?あいつは既に宇宙だよな!」
 「その筈だ」
 「俺がカーネルの倒したのは夕方だ…ヘチマールの証言は?」
 「夕方…って、まさか…」
 オストリーグが報告ディスクを読み直すと、彼女とカーネルの出生と手元に在るディスクの文章を読んで、ハッとしたのであった。
 「アイリスはエックスを殺す気か!?」
 「だから、トウコは顔面蒼白だったんだな…あいつは?」
 「既に宇宙に飛び立つ準備は完了している。お前を待っていたぞ」
 入って来い、地上は俺たちが何とかする、とイーグリードはゼロに言い、ゼロは大急ぎでハンターベースのポートへ急いだ。
 ― 一方エックスは、ダブルと死闘を演じ、辛くも勝利した。そして、ダブルの口からスパイであった事と事件の真相を聞かされ、死んでいった。その現実に、涙を流していた。
 「信じ…て…いたの…に…ダブ…」
 そのとき、突然背後から剣が刺さった。彼の後ろには…アイリスが居たのだった。何故、居るのか。どうして、こんな事をするのかも聞けず、エックスは倒れてしまった。
 「泣けるなんて、良いわね。でも、そこまでだから」
 場所変わり、ファイナルウェポン入り口。トウコも同伴し(ゼロの治療も大急ぎで施した)、レプリフォースの防衛線を潜り抜けて何とかたどり着いた。彼女は脱出ルートの確保の為に探索をすると言い、ゼロはアイリスの探索をする事にし、分かれた。道中、エックスが倒したメカニロイドとレプリフォース兵士の遺骸が沢山あったが、何体かはエックスじゃない遺骸もあった。アイリスかもしれないが、それにしても残虐である。無残に切り刻まれていたのだから。
 「他にも招待客が居たのか…っと、あそこか…っ!」
 目の前の部屋に入れば、光景は悲惨であった。切り傷状態のまま、腹部に剣が刺さったまま倒れているエックスがいたのだ。そして、
 「来たのね」
 アイリスは、カーネルの頭部を抱えたまま登場した。
 「アイリス!どう言う事だ!!何故、エックスを…あいつは関係ないだろ!!」
 「関係ない…大いにあるわ。私は兄さんを失ったけど、ゼロはエックスが居る。それにハンターの皆が居るじゃない!ゼロは、ずるいわ!失っていないのに私は大事な人を失ったのに!!」
 アイリスの叫びにゼロは、何も言い返せなかった。確かにそうである。自分はアイリスの大事な兄を倒してしまった。その重さを理解はしていたが、いざ誰かが指摘されるとなると、その重さが伝わってくる。
 「第一、何が英雄なの!?意気地なしじゃない、何で気弱で悩んでばかりのエックスが英雄なのよ!それなら兄さん助けてよ!英雄なのに、何も出来やしない…意気地なしの癖にゼロや多くの仲間に守られているのが許せない!」
 アイリスの言葉を受け入れるように勤めつつ、ゼロはアイリスに言った。
 「いつも泣いていて悩んでばかりの意気地なしな奴だ。だがエックスは弱さを知っている。だからこそ、他者の痛みに気づき、優しく接してやれる強さがある。これが俺がエックスと一緒に居られる理由だ…アイリス、エックスを返してもらう」
 「…やっぱり無理だったのね…和解なんて…じゃあ、もう終わりにしましょう」
 「おい、アイリス…まさか…」
 「さようなら…ゼロ…兄さん、私を守って…」
 アイリスは光に包まれ、ゼロは光の強さに思わず、腕で顔を隠した。光が収まった時、目の前には紫のライドアーマーに似た機体が居たのだ。
 「まさか…アイリスなのか?」
 「そうよ…行くわよ…ゼロ…」
 その頃、トウコは…。
 「な…亡霊…じゃなかった。コピーロボットか…」
 「レ…レプ…リフォー…スの誇りに…掛けて…ころ…す」
 たどたどしい言動にうつろな瞳。過去に何度も交えた戦士の亡霊。そしてこれを可能にする輩は、彼女の記憶では、アレしかいない。
 「シグマ…か。手を汚さずに、ここまでまぁ、戦火を…って感心している暇じゃない!」
 この亡霊相手にして、既に24体…いつまで増え続けるのか、彼女には不安でしかなかった。

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